第7回 ゲーム音と電子楽器の関係
第2回から非常にコアなゲーム音楽論について書いてきましたが、
ついに前々回の5回目で、この連載を通して一番伝えたかった私にとっての本当の意味でのゲーム音楽についてお話しすることが出来ました。
それは電子回路の中を流れる電気をコントロールして作った音や音楽のことでしたね。
電気の力をダイレクトに利用して作られた電子音たちに私はゲーム音楽本来の魅力を感じます。
今回は、ゲーム音と電子楽器の関係についてみていきます。
電気の力を利用して音を出すものってたくさんありますよね?
ゲーム機以外では、まずオーディオ機器全般があります。
エジソンの蝋管や円盤型のグラモフォンと呼ばれる蓄音機に始まり、テープレコーダーからCDへ、そしてMP3プレイヤーへと進化(実はある意味退化している点もあるのですが....)していく流れ、つまり音や音楽をそのまま記録し再生する技術は、あえてここでは扱いませんが、しかし最終的には現代のゲーム音楽の流れと合流していきます。
オーディオ機器全般を除くと、次に思いつくのは電気を利用する楽器たちではないでしょうか。
エレキギター、エレキベース、エレクトーンやシンセサイザーといった鍵盤楽器などなど、実に様々な楽器があります。
まずはこの辺りを整理してみましょう。
仕事柄、いろいろな方から「電気楽器」と「電子楽器」って何が違うの?
という質問を受けます。
研究者やアーティストによってその解釈は様々ですが、私はこのように定義しています。
電気楽器:
物理的な発音源を持ち、それを電気信号に変換して音を出すもの
電子楽器:
物理的な発音源を持たず、電子回路で作り出した音を音源とするもの
もう少し説明しますと、電気を使わない楽器、日本では一般にアコースティック楽器と呼ばれていますが、そのような楽器たちには、例えばギターやバイオリンには弦、ドラムには皮、管楽器にはリードといった振動する部分が必ずあります。
そこからマイクのような仕組みで音を拾って、電気信号に変換しているのが電気楽器です。
したがってエレキギターやエレピ(エレクトリックピアノ)は電気楽器ということになります。
一方、多くのシンセサイザーなどのキーボードは、何もないところから電子回路で音を作り出しているので、電子楽器と呼ばれています。
特にビンテージのシンセサイザーは、電子部品を組み合わせた発振器というアナログの回路が、音源のメインになっています。
発振器とは、スイッチを押したときに起きた電気を、その回路の中でループさせて、電気の振動を作り出すものです。
手をアンテナに近付けるだけで音程や音量が変化する不思議な楽器テルミンは、ラジオの仕組みを応用したものですが、電子回路によって発音しているので、やはり電子楽器と言ってよいでしょう。
さて、これをアミューズメントマシンの関係に置き換えてみましょう。
第4回で登場したピンボールは、物理的な仕組みで動く機械、つまりエレメカですが、音も物理的な仕組みで鳴っているので、電気楽器と言えるのではないでしょうか。
そして第5回をもう一度読んで頂ければわかると思いますが、テレビゲームは電子回路によって音が鳴る、つまり電子楽器と同じ構造をしているのです。
整理すると....
エレメカ→電気楽器
テレビゲーム→電子楽器
ただ両者に共通する楽器と大きく違う点は、人が演奏するのではく、ゲームの進行の中で情報として音が鳴る点でしょうか。
古いテレビゲームとビンテージのシンセサイザーにこだわる私の頭の中が多少見えてきましたでしょうか(笑)?
かつてインベーダーゲームの基板を購入しましたが、それをよくよく観察すると、電子楽器の発振器と同じものを発見しました。
インベーダーには簡単なシンセサイザーが組み込まれていたのです。
わかりましたか?そうなんです!昔のテレビゲームは、私にとっては電子楽器なんです!
ぐっすりと休んですっかり酒が抜けたので、いきなりハードにぶっちぎりましたが、いかがでしたでしょうか。
次回からは「ゲーム音楽って?」を主軸にしながらも、具体的に古いゲーム機たちをみながら、どのように音をデザインしていったのかを見ていくことにしましょう。
それではまた次号で!
月刊FAMICOMANIA 米本 実の記事一覧はこちらです。
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米本 実
小2のスーパーカー・ブーム時に購入した
ランボルギーニ・カウンタックの走行音を録音したレコードでノイズに目覚める。
アオシマの合体プラモやダイヤブロックなど、いろいろと組み替えて遊べるおもちゃで創造力を鍛える。
小3のとき、スターウォーズのR2−D2と出会い、また、お小遣いをもらってレコード屋に行ったとき、本当はMr.BOOのテーマを買う予定だったが、間違えて「ディスコ・スペース・インベーダー」というシングルを買ってしまい、電子音に目覚める。
小5でイエロー・マジック・オーケストラと出会い、シンセサイザーの存在を知る。
最初の電子楽器は、CASIO VL-1とYAMAHA PS-3。
小6、ハンダ付けの師匠、山内さんと最初の0号機を作る。
中1、初めてのシンセサイザーKORG MS-10を購入。
以後、ラジカセで、ラジオノイズ、LSIゲーム、ゲーセンの音、レコード、電子機器、電子楽器、自作の電気楽器などをコラージュした作品を作り続ける。
現在でも、基本姿勢は何も変わっていない。
工業高校電気科時代は、音楽に夢中になり、
音楽大学時代の後半は、電子工作に没頭と、
効率の悪い人生を歩む。
清く正しいマッド・サイエンティストを目指して現在に至る。
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米本電音研究所
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